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Linux OS

2026 年 04 月 09 日

日本企業の標準 Linux はどれ? AlmaLinux を軸に考える CentOS 後のリアル

~CentOS EOL 後に日本企業が Linux サーバー OS を選ぶ基準は?「Linux サーバー OS 利用実態調査 2025」実態調査レポート~

CentOS 7 のサポート終了から、すでに 1 年半以上が経ちました。多くの日本企業では、AlmaLinux や Rocky Linux、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)などを候補に CentOS の後継 OS を決め、移行プロジェクトが進んだのではないでしょうか。

一方で、次のようなモヤモヤを抱えたまま運用に入っている情報システム担当やインフラ担当の方も少なくありません。

  • 結局、選択した Linux ディストリビューション (AlmaLinux、Rocky Linux など ) が正解だったのか
  • 選択した Linux ディストリビューションで、5 年先、10 年先も運用できるのか
  • OSS を選択した場合、サポートや脆弱性対応が誰がどこまで責任を持つのか

Linux ディストリビューションにはそれぞれ特徴や得意領域があり、CentOS の後継を何にするのかを決めるだけでは、必ずしも長期運用の安心を担保できません。自社の条件に照らして、5 年先、10 年先まで運用が可能な選択肢であるのかをチェックすることが重要です。

本稿では、日本企業の Linux サーバー利用実態調査の結果を踏まえながら、

  • 日本企業が CentOS 後にどのような Linux ディストリビューションを選んでいるのか
  • AlmaLinux/Rocky Linux/RHEL をどう位置づけるべきか
  • 自社で選定した標準 Linux ディストリビューションを 5 年、10 年スパンで見直す時の視点

を整理します。

CentOS 終了で露呈した、日本企業の 3 つの不安

2019 年頃まで、RHEL 互換で実質無料、実績が豊富、情報が多いという理由から、多くの日本企業で CentOS が採用されていました。CentOS 終了後、日本企業の情報システム担当やインフラ担当の方に話を聞くと、次のような不安が強くなっていることが見えてきます。

  1. 長期サポート、ライフサイクルに対する不安
    • この OS は何年使えるのか、いつまでセキュリティパッチが提供されるのかが、経営・監査・顧客説明の上で重要なポイントになっています。
    • 仮想基盤や基幹システムでは、アプリケーションのライフサイクルと OS のサポート期間を合わせて考えなければならず、5 年で入れ替えは現実的でないケースも多くあります。
  2. 脆弱性対応とセキュリティ運用の不安
    • ランサムウェアやサプライチェーン攻撃が増える中で、脆弱性の看過に対する目が厳しくなっています。
    • 脆弱性情報の収集や影響範囲の確認、SBOM(ソフトウェア部品表)対応など OS レベルで求められる説明責任が高まっています。
  3. ベンダーロックインと責任分界への不安
    • 特定の商用ディストリビューションや 1 社のベンダーに過度に依存すると、ライセンス条件やポリシー変更の影響を受けやすくなります。一方で、すべてをコミュニティ版+自前運用で賄うのは負担が大きく、現実的でないケースがあります。
    • どこまでを社内で行い、どこから外部の仕組みやサービスを利用するかといった責任分界の設計が以前より重要になっています。

CentOS 全盛期のころは、この 3 つの不安に明確な解がなくても運用することが可能でした。しかし、今後の 5 年、10 年を考えると、標準 OS を何にするかは、単なる後継 OS の選定ではく、この 3 つの不安にどう向き合うかというインフラ設計の問題に変わりつつあります。

調査データが示す、日本企業の Linux 標準 OS 選定の実態

では、日本企業は CentOS のサポート終了後、実際にはどのように Linux サーバー OS を選んでいるのでしょうか。サイバートラストは「Linux サーバー OS 利用実態調査」として、第三者調査機関に委託して日本企業のサーバー関連支出の決裁者、計画立案者、導入・管理運用担当者に対し、導入済みの Linux サーバー OS、サーバーの重要度ごとの導入済み Linux サーバー OS を聞く調査を 2024 年 11 月より実施しています。2025 年 11 月に実施した「Linux サーバー OS 利用実態調査 2025」(アンケート有効回答数 247)の回答から、傾向として見えてきたポイントを挙げると次のようになります。

導入済みでは RHEL 一強 +CentOS 残存 +AlmaLinux/Rocky Linux が台頭

導入済みの Linux サーバー OS を前年比で見ると、RHEL を中心とした構図は崩れていないが、CentOS を急速に減らしつつ、その穴を RHEL および RHEL 互換 OS(AlmaLinux/Rocky Linux)が埋め始めているという状況がわかります。

 導入済みの Linux サーバー OS のグラフ

出典:「Linux サーバー OS 利用実態調査 2025」より

重要度の高いサーバーで本当に頼りにしている OS は何か

次に、サーバーの重要度を考慮し、高い順から 3 段階目までを対象として、各重要度で使っている OS を聞きました。最も重要なシステムでは依然として RHEL を中心にしつつも、AlmaLinux の採用も見られます。

 最も重要度の高いシステムで採用しているサーバー OS のグラフ

重要度が 2 番目、3 番目に位置づけられているサーバーでも方向性はほぼ同じです。つまり、現時点での日本企業では、重要度の高いシステムでは依然として RHEL を採用するケースが多く、CentOS からの離脱が最も早い。AlmaLinux と Rokcy Linux は、どちらも有力なサーバー OS として認知されているものの、まずは重要度が 2 番目、3 番目のシステムで試行し、本番導入が可能な領域を見極めるといったパターンが典型的と言えるでしょう。

特徴比較:各 RHEL 系 Linux をどう位置付けるか

調査結果を踏まえると、日本企業での RHEL 系 Linux の役割分担はおおよそ次のように整理できます。

  • RHEL:基幹系、規制が厳しい領域での基準とされる OS
  • ベンダーの責任範囲が明確で、サポート体制が整っている、大規模企業や公共分野での採用実績が豊富、特定のミッションクリティカルシステムで第一候補になるという強みがあります。
  • AlmaLinux:RHEL 互換 + 長期運用しやすい標準 OS 候補
  • RHEL 互換の OSS ディストリビューションとして、エンタープライズ利用を意識して設計されています。非営利団体がガバナンスを担っており、特定ベンダーへの過度な依存を避けたい企業にとってメリットがあります。セキュリティ性と安定性に定評があり、国内向けの日本語技術サポートや延長サポートなどエンタープライズ向けのサービスが充実しています。
  • Rocky Linux:RHEL 互換 + コミュニティ志向の選択肢
  • RHEL のソースコードをベースとし、RHEL の互換性を特に重視して開発されています。調査結果では、重要度の高いシステムでの割合はまだ小さく、試行段階であることが伺えます。

RHEL は依然としてエンタープライズ Linux の代表格ですが、システムの特性を踏まえて、RHEL と AlmaLinux・Rocky Linux を使い分けたり、複数の OS を併用する企業も増えています。

ポイントとなるのは、自社のシステム構成や運用体制、予算・コスト構造、セキュリティ・コンプライアンス条件、ベンダーとの関係性や社内スキルといった、自社の条件を明らかにすることです。

そのうえで、どのような領域でどの OS を採用するか、どこまで自社で持ち、どこからサポートベンダーに任せるか、5 年後、10 年後を見据えたときに、変更余地や出口戦略を持てる構造になっているかを検討するのがよいでしょう。

ベストな標準 Linux の条件を言語化するチェックリスト

最後に、自社の標準 Linux はどれが良いかを考える際のチェックポイントをいくつか挙げてみます。

  • 5 年後、10 年後まで、選定した OS を使い続ける前提でライフサイクルを設計できるか
  • 脆弱性対応や SBOM 対応など、セキュリティ面の説明責任を果たせる運用を設計できるか
  • 日本語で相談できる窓口や障害時のエスカレーションパスは明確か
  • 選定した OS を変更したくなった時、現実的な移行パスと出口戦略を描けるか

まとめ

本記事では、CentOS サポート終了後の日本企業における標準 Linux の現状を、AlmaLinux を軸に概観しました。より詳しいデータは、別途ご用意しているホワイトペーパーでまとめています。

自社の Linux 選定の振り返りと今後の戦略策定に活用していただければと思います。

ホワイトペーパー「Linux サーバー OS 利用実態調査 2025」


第三者調査機関に委託して日本企業のサーバー関連支出の決裁者、計画立案者、導入・管理運用担当者に対し、Linux OS の利用実態を調査したホワイトペーパー「Linux サーバーOS 利用実態調査 2025」PDFを無料でダウンロードしていただけます。