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「iPhoneのマイナンバーカード」で今後の本人確認書類はどうなる?

~ 2025 年 6 月リリース!「iPhone のマイナンバーカード」を徹底解説(後編) ~

前編に続いて、2025 年 6 月 24 日、デジタル庁より提供開始された「iPhone のマイナンバーカード」を受けて、iOS や Android を含めて今後の本人確認書類がどう拡大・変化していくのかを解説します。

今後の本人確認および本人確認書類

すでに登場しているものも含め、対応検討を考慮する必要がある要素を時間軸で見てみましょう。

  2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年
iOS
ウォレット     6 月開始      
スマホ JPKI     6 月開始      
Android
ウォレット       秋頃見込    
スマホ JPKI 5 月開始          
本人確認書類
 マイナ免許証     3 月開始      
 第二世代在留カード       春頃見込    
 特定在留カード       春頃見込    
 次期マイナンバーカード           冬頃見込
法律
 犯収法改正
  カード代替電磁的記録     6 月施行      
  撮影方式等の廃止         4 月施行  
 携帯法改正
  カード代替電磁的記録     6 月施行      
  撮影方式等の廃止       4 月施行    
  2023 年 2024 年 2025 年 2026 年 2027 年 2028 年

表 2:対応検討の全体スケジュール(デジタル庁による 2025 年 7 月時点の公表情報をもとにサイバートラストが作成)

2028 年冬頃まで目白押し、といった形です。この間、事業者様は各種の必要な対応を、優先順位をつけて取り組まれていくことになります。現実的には、改正法施行で撮影方式等が廃止される時期に向け、段階的に色々な対応を検討 / 実施されていくものと考えられます。

すでに開始されているものや法改正については過去の弊社ブログ記事で触れていますのでそちらに譲るとして、ここでは以下について整理していきます。

  1. Android のウォレット対応
  2. 第二世代在留カードおよび特別在留カード
  3. 次期マイナンバーカード

1.について、こちらは 2025 年 6 月 13 日にデジタル庁が公開している「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の「本文」、13 ページにおいて以下の通り示されています。

D スマートフォンへの搭載等によるマイナンバーカードの利便性の向上-Android端末については、2023年5月に開始した電子証明書搭載サービスについて、順次対応サービスと利用者の拡大を図るとともに、2026年秋頃にマイナンバーカードの基本4情報等の搭載実現を目指す。また、iOS端末については、マイナンバーカード機能

出典:デジタル庁 デジタル社会の実現に向けた重点計画

「2026 年秋頃にマイナンバーカードの基本 4 情報等の搭載実現を目指す」とのことで、こちらが Android のウォレット対応を指すものと想定されます。

iPhone の Apple ウォレット利用においてデジタル庁への申請、承諾が必要なため、Android のウォレット利用においても同様にデジタル庁への申請、承諾が必要になるものと考えられます。

Android はすでにスマホ JPKI の利用が可能であるため、2026 年秋頃の Android ウォレット対応をもって、iOS と Android で利用可能な本人確認方法に差異がなくなることが期待できます。

1.の対応としては、Android のウォレットから情報読み出し+真正性を確認するための申請および機能実装が必要となります。

2.について、こちらは出入国在留管理庁が公開している「第二世代在留カード等仕様書(一般公開用)の概要について」で、現時点では以下の通り概要のみ示されています。

1.令和6年入管法改正について-令和6年6月14日、「出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)(以下「改正入管法」という。)」が成立し、同月21日に公布されました。改正入管法は、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行されることとなっています(施行日未定)。改正入管法では、在留カードとマイナンバーカードを一体化することを可能とし、マイナンバーカードとしての機能を付加するための措置が講じられた在留カード又は特別永住者証明書である特定在留カード等の交付を求める申請を行うことができるようにするとともに、在留カード又は特別永住者証明書(以下、「在留カード等」という。)の記載事項を見直しました。

出典:出入国在留管理庁 第二世代在留カード等仕様書(一般公開用)の概要について

公布から 2 年を超えない範囲=2026 年 6 月 21 日までに、第二世代在留カードまたは特別永住者証明書、マイナンバーカードとそれらが一体化した特定在留カード(以下、第二世代在留カード等)の運用が開始されます。

第二世代在留カード等の詳細仕様は 2025 年 7 月時点で公開されておらず、今後の公開を待つ形になりますが、特定在留カードについてはマイナ免許証のように、マイナンバーカードの空き領域に在留カードの情報が記録される形になるであろうと推測されます。

2.の対応としては、第二世代在留カード等の IC チップから情報読み出し+真正性を確認するための機能実装が必要となります。

3.について、こちらは1.で触れた「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の「重点政策一覧」No.1-75、および「工程表」1-75 として以下の通り示されています。

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の「重点政策一覧」No.1-75

出典:デジタル庁 重点政策一覧

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の「工程表」No.1-75

出典:デジタル庁 工程表

次期マイナンバーカードの導入開始時期は、2024 年 3 月 18 日に公開された「次期個人番号カードタスクフォース最終とりまとめ(案)概要」において「2026 年をひとつの視野に入れ」と記載されていました。これを受け、事業者様はそろそろ次期マイナンバーカードの対応を検討しなくてはならない、と動かれ始めていたものと思います。

次期カードの導入時期について

出典:次期個人番号カードタスクフォース 第 4 回資料 次期個人番号カードタスクフォース最終とりまとめ(案)概要

しかし今回、デジタル庁から正式に 2028 年度 4Q と示されたことで対応検討に猶予が生まれ、直近ではその他の重要対応にリソースを割けるようになりました。この点、安堵されている事業者様もいらっしゃるのではないかと思います。

3.の対応としては、次期マイナンバーカードの IC チップから情報読み出し+真正性を確認するための機能実装が必要となります。

さいごに

ここまでご覧いただき、ユーザーの本人確認にあたっては幅広く様々な方法、様々な本人確認書類に対応していく必要があり、また、それぞれに実装方法や IC チップの仕様などが異なることを、大枠として把握いただけたのではないかと思います。

一方で、次々と方法、対象書類が増える中、「本人確認が事業継続において重要な要素といっても、自分たちの事業のコアとなる機能ではないのに、貴重な内部の開発・調査リソースを割くのは辛い」というのが多くの事業者様の立場であろうと思料します。

実際問題として、専門外の情報はその進展状況をキャッチするのも一苦労ですし、仮に状況をキャッチできたとしても、ではどうやって対応すればいいのか、そもそも自社は対応する必要があるのかどうかを調査するのもまた一苦労であって、いずれにしても内部リソースをかなり消費してしまいます。

サイバートラストのiTrust 本人確認サービスは、そのようなお悩みをお持ちの事業者様に対し、各種 IC チップ読取や拡大していく対象書類を包括的にカバーするライブラリや API の提供、市場動向に基づき事業者様の状況にあわせた今後必要になる対応のご提案、公的個人認証を含む法対応上の本人確認におけるナレッジ共有など、本人確認シーンを多角的に支援することで、事業者様の本人確認業務にかかる対応コストを効率的に圧縮します。

何から手を付けていけばいいかわからないといったご相談からでも、お気軽に問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

この記事の著者
金子大輔
金子大輔

2012 年サイバートラスト入社。 PKI 商材の技術サポート、品質保証に従事し、2020 年より iTrust 本人確認サービスのプロダクトマネージャー兼プロジェクトマネージャーを担当。 2025 年よりトラストサービス事業本部統括部長に就任。 米国 PMI 認定 PMP / 加国 IIBA 認定 CBAP。

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