2021 年 03 月 09 日
第5回:仮想化環境のシステムバックアップに注意しましょう
『みら子先輩と学ぶ、バックアップはじめの一歩』
連載『みら子先輩と学ぶ、バックアップはじめの一歩』は、企業のシステムを守るバックアップについて、みなさんと一緒に学んでいく特集です。登場人物は、入ったばかりの新入社員くるり君とベテランエンジニアのみら子さんです。
「バックアップってなに?」という簡単な疑問からはじまった本連載の第 5 回目は、「仮想化環境のシステムバックアップに注意しましょう」です。
登場人物
みら子
ベテランエンジニア
くるり
入社したばかりの新入社員
第 5 回:仮想化環境のシステムバックアップに注意しましょう
くるり:
みら子先輩、前回は「どうやってシステムバックアップするの?」のレクチャー、ありがとうございました。これまでの話で「いつ」「どうやって」というのはわかりました。いくつか気になるところがあるんです!
みら子:
なにかな?疑問に思ったらなんでも聞いてね。
くるり:
えっと、今、ぼくが使っているサーバーなんかもそうなんですが、仮想化環境なんです。一台の上に、Windows サーバーが動いていたり、Linux が動いていたり。 この仮想環境上で動いている OS も、同じようにシステムバックアップって、取得できるんですか?
みら子:
もちろんよ。今は、2 台に 1 台のサーバーが仮想化されていると言われているくらい仮想化環境が一般的なの。だから、仮想化環境も、システムバックアップを取得できないと困ってしまうわよね。
くるり:
仮想化環境のシステムバックアップって、何か注意することがあるのですか?
みら子:
やっぱり、まず、 注意しなければいけないのが、仮想化ソフトウェアのサポート ね。さっき、仮想化環境のシステムバックアップを取得できるって言ったけど、サポートされる仮想化ソフトウェアは、各社の製品で結構違うのよ。
くるり:
例えばどういう違いがあるんですか?
みら子:
仮想化ソフトでシェアが高い VMware ESX/ESXi に対応しているというのは、多くのベンダーが言っているけど、Hyper-V や KVM、XenServer に対応しているかどうかは、大きく差がある点ね。あと、ESX や ESXi に対応していると言っても、どのバージョンに対応しているかもしっかりと確認しないといけないわよ。
くるり:
仮想化ソフトウェアのバージョンを細かく確認しないといけない のですね。
みら子:
そうなのよ。あとは、製品ライセンスで、 VMware ESX/ESXi 用、Hyper-V 用、KVM 用といったように、 各仮想環境で製品が違ってしまって、個別に購入が必要になったり、管理が面倒になったりすることもある から、注意が必要ね。
くるり:
えー、そうなんですか。ウチの会社だと、ESX も、Hyper-V も、KVM も、全部使っているから、コストが高くなってしまいますね。
みら子:
だから、言い換えると、どの仮想化環境に対応しているのかを気にしなくても大丈夫な製品がいいわよね。
くるり:
では、物理サーバーと仮想サーバーで考え方の違いってあるのですか?
みら子:
仮想サーバーであっても、バックアップに対する考え方は物理サーバーと基本的に変わらないの。 仮想マシンは、仮想化ソフトウェア上ではファイルとして扱われる ということが大きく異なる点かな。
あと、 仮想化環境に特化したバックアップソフトウェアや、仮想化ソフトウェア製品自体にバックアップ機能がある こともポイントね。ただ、多くの場合は、システムバックアップというより、データバックアップ用の機能ね。
くるり:
やっぱり、システムバックアップソフトウェアを使った方がよさそうですね。
みら子:
そう思うわ。
くるり:
あ! でも、確か、仮想化ソフトウェアのスナップショット機能を使ったら、実行中の仮想マシンの状態とデータを保存できますよね。スナップショットを使って、バックアップを取れば簡単ではないのですか?
みら子:
たしかに、スナップショット機能は便利よね。でも、これはバックアップとして考えてはいけないの。いくつか理由はあるのだけど。1 つは、仮想化ソフトウェアが稼働しているサーバー上での誤操作には無防備なの。他には、仮想マシン上で実行されているアプリケーションがスナップショットを認識した挙動をしないの。特に、システムバックアップの場合は、バックアップを取る OS が壊れてしまう可能性もあるから、スナップショットをバックアップに使うのは厳禁ね。
最新サーバーのシステムバックアップに注意しましょう
くるり:
分かりました。ただ、少し気になるところがあるんです。
みら子:
どういうところ?
くるり:
えっと、仮想化ソフトウェアって、普通、サーバーベンダーのウェブサイトを見ると、どのサーバーがどの仮想化ソフトウェアのバージョンで動作認定されているか掲載されていますね。それって、システムバックアップソフトウェアでも気にしないといけないのですか?
みら子:
いい点に気がついたわね。確かに、 仮想化ソフトウェアがサポートしていないサーバーは、システムバックアップソフトウェアでもバックアップがとれない わね。
くるり:
やっぱり。
みら子:
ただ、それは、仮想化ソフトウェアに限った話ではないのよ。物理サーバーでも、システムバックアップソフトウェアで、バックアップできないことがあるの。
くるり:
どういう場合ですか? システムバックアップする OS がサポート対象だったら、大丈夫ではないのですか?
みら子:
それが、違うのよ。システムバックアップソフトウェアによっては、そのあたりを「はっきり」と書いていないことがほとんどなの。注意してね!
くるり:
え!?どういうことか分かりません!
みら子:
実は、 システムバックアップソフトウェアによっては、バックアップに必要なハードウェアを認識できないことが結構ある のよ。
くるり:
認識できない? 認識できなかったら、システムバックアップは取得できないのではないですか?
みら子:
その通り! 例えば、サーバーベンダーは、定期的にサーバーの設計を大きく変えるの。たいていは、新しい世代の CPU が登場するタイミングに合わせて発表されるわね。そういったときに、新しいデバイスやハードウェアアーキテクチャーを導入したり、または、RAID なんかも新しくしたりといったことあるわ。そういう最新のハードウェアでは、デバイスが認識できなかったりするのよ。または、サポートされているかどうかも不明なことがほとんどなの。
くるり:
えー!そんなことあるんですか?
みら子:
例えば、サーバー大手の日本ヒューレット・パッカード(HPE)が出している最新ブレードサーバーには、I/O を仮想化するバーチャルコネクトというオプション機能が実装されているの。私が知る限り、バーチャルコネクト構成のサーバーをサポートしているのは、MIRACLE System Savior だけね。
くるり:
他にも、ありますか?
みら子:
「システム構築した環境を " 丸ごと " バックアップすることがシステムバックアップ」って言ったの覚えている?
くるり:
もちろん!まるっと丸ごとですね!
みら子:
そう。SAN ブート構成、ファイバーチャネルのマルチパス構成やネットワークのチーミングといった構成をサポートしていないことも多いのよ。
システムバックアップソフトウェアのベンダーに確認すると、実はとても不透明な回答が多いのよ。「取得できるかもしれませんし、取得できないかもしれません」とか。
くるり:
そんなの怖くて、採用できません!
みら子:
だから、 最新サーバーのシステムバックアップには、注意が必要 なのよ、気をつけてね。MIRACLE System Savior だと、新しいサーバーも含めて、 対応環境 がウェブサイトに掲載されているの。提案には、こういう点を参考にしてね。
くるり:
分かりました ! 今回は、意外に盲点でした。最新サーバーを提案したのはいいけれど、システムバックアップを取得できませんでした ...!って、ならないように注意します。
みら子:
がんばってね!
MIRACLE System Savior のバックアップ対応環境はこちら
新入社員のくるり君は、仮想化環境と最新サーバーのシステムバックアップについての注意点を理解したようです。次回は、どのようにデータバックアップをするかについて説明します。ぜひお楽しみに!
バックアップのチェックポイント
- 仮想化環境も、基本的には物理環境とシステムバックアップについては同じ。ただし、サポートしている仮想化ソフトウェアの種類とバージョンには注意が必要。
- 仮想化ソフトウェアのスナップショット環境はバックアップには使ってはいけない。
- 最新サーバーのサポート構成は、システムバックアップソフトウェアでは、はっきりしないベンダーが多いので注意が必要。
- 常に、最新構成をサポートしていないと、システムバックアップできないサーバーばかりになってしまう。
MIRACLE System Savior 評価版
実際の導入の前に、企業向けシステムイメージバックアップソフトウェア「MIRACLE System Savior」をトライアルでご利用いただけます。導入検証や技術評価に是非ご活用ください。
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