2026 年 08 月 06 日
Interop 2026 Cybertrust Day イベントレポート~後編~
2026 年 6 月 12 日に開催された Interop 2026 にて「Interop 2026 Cybertrust Day」と題してサイバートラストおよびパートナー企業から「信頼をどう担保し続けるか」というセキュリティ全般に関する企画講演が行われました。本ブログは後編となります。
前編、中編はそれぞれ以下からご覧ください。
各講演動画は、本レポート末尾に記載の「オンデマンド配信」ページよりご覧いただけます。

Interop の来場者は 3 日間で 14 万人を超え、サイバートラストのセミナー会場には 529 人がセミナーに足を運びました。
5. 脆弱性対策の " 使い分け " 最前線
続いて「脆弱性対策の " 使い分け " 最前線」として、サイバートラスト株式会社の田上 利博様から、ASM や脆弱性対策の話の共有がなされました。
このセッションでは、「サイバーキルチェーン(攻撃者側から見たサイバー攻撃時の一連の行動を七つのステップに分け、それぞれのステップで何を行っているかの情報を共有することで防御に活かすもの)」など基本的なサイバー脅威の説明を行いながら、どういう行動がランサムウェア攻撃などの際に取られているのかという解説を行っていました。特に「帝国データバンクの調査によると、中堅~中小企業の 58.4% が過去 1 年間にサイバー攻撃による実被害を経験している」という点は非常に興味深く、サイバー攻撃が単なる対岸の火事ではない、という事を感じさせてくれる内容でした。
また、サイバー攻撃がこれだけ一般的になってきている中での有効な対策として、サイバートラストが提供している以下のサービスが紹介されました。
- ASM(Attack Surface Management:アタックサーフェスマネジメント )
- AI スキャン診断サービス
- 脆弱性診断サービス
1. ASM(Attack Surface Management:アタックサーフェスマネジメント )
Attack Surface とは「インターネットに接続された企業資産やシステム、そして悪意のある脅威アクターによって悪用される可能性のある資産」であり、ASM とは「そのような Attack Surface を適切に管理すること」になります。攻撃者はインターネットを通じて標的となる組織の「守りが薄い場所」を狙って攻撃を仕掛けてくることが殆どであるため、ASM を使うことで重要な箇所によりセキュリティ投資を行うと言う、対投資効果の面が期待できます。
ASM では IP アドレス情報やサブドメイン情報、類似ドメイン情報などの「外部に露出している資産情報」についての調査が行われます。これらの情報に未知のものや忘れられているもの等があった場合には、攻撃者によって悪用されるリスクが高くなります。
2. AI スキャン診断サービス
AI スキャン診断サービスは、AI+RPA( プロセス自動化 ) を活用した高精度な専用ツールを用いて、Web サイトへの自動スキャンを行うものになります。AI を用いることで自動化・短納期を実現し、スピーディーな調査が可能になります。
3. 脆弱性診断サービス
さらに手動での脆弱性診断になってくると
- ネットワーク診断
- ホスト診断
- クラウド診断
- ペネトレーションテスト
といった、さらに細かいメニューを用意しており、専門的な知識を持ったエンジニアがツールや手動などで診断を行っていきます。これにより、例えば RDP を使っているが設定が甘かったり、多要素認証が使われていない、などのより細かいレベルでの診断ができます。
ASM/AI スキャン / 手動診断の関係は以下のようになっており、段階的にリスクを絞り込んでいくような形になっています。

講演資料から抜粋
セミナーの中では、さらにそれらの診断結果としてそれぞれのフェーズで脆弱性情報をどのように共有していくのか、またペネトレーションテストでどのような形の検証を行い報告をするのか、などが解説されていました。
本講演のオンデマンド配信はこちら
6. ゼロトラスト時代の企業間取引におけるデータ信頼性担保 総務省が示す e シールの現在地
最後のセッションは「e シール」の話になりました。こちらは最初に e シールについて
サイバートラスト株式会社の稲葉 朗様が解説を行い、その後キヤノンマーケティングジャパン株式会社の伊藤 峻様が具体的な導入についての情報を共有していました。
e シール(Electronic Seal)とは、平たく言うと法人向けの電子署名の仕組みで、企業や組織の「電子版の社印」に相当するものです。PKI を利用して、そのデータが「確かにその企業・組織から発行されたものであること(発行元の真正性)」と、「発行後に改ざんされていないこと(完全性)」を証明します。

e シールの仕組み:e シールに係る指針(第2版)より引用
この e シールを使えば、例えば PDF ファイルの「なりすまし」「改ざん」を確認することもできますので、電子文書の「なりすまし / 改ざん」を抑止できます。
EU では e シールは法的に明確に位置付けられており、eIDAS と言う、EU 域内において電子的な取引や手続きを安全かつ信頼できる形で行うための法的枠組みのなかで使用されています。また日本でも、総務省では 2024 年 4 月に「e シールに係る検討会 最終取りまとめ」および「e シールに係る指針(第 2 版)」を公表しています。
サイバートラストでは「iTrust e シール用証明書」という、JIPDEC の e シール基準を網羅した e シール専用証明書を提供しています。また、「総務大臣認定済み iTrust e シール用証明書」という、総務省認定制度を満たしたものも申請中になっています。
ここから後半で、キヤノンマーケティングジャパン株式会社の伊藤様から、「具体的な e シールの導入について」の説明がなされました。特に e シールでは「ライフサイクル管理」が重要になり、文書の「作成 ➔ 処理・送付 ➔ 保管・保存 ➔ 更新」といったライフサイクルの中で、業務のワークフロー(承認プロセス)の中に自然に e シールを組み込むことが、企業の統制上、極めて重要であると言うお話が共有されました。
また、これらを一体化するためにキヤノンマーケティングジャパンの「Digital Work Accelerator(DWA)」とサイバートラストの電子認証局サービスの一つである「iTrust e シール用証明書」を連携させたパッケージソリューションの紹介も行われました。
本講演のオンデマンド配信はこちら
まとめ
Interop 2026 Cybertrust Day では、SSL 証明書の運用自動化、ゼロトラスト時代の多要素認証、EOL を迎える OS の戦略的な延命、仮想化基盤の再考、そして ASM による脆弱性対策から e シールによる文書の真正性確保まで、多岐にわたるセキュリティの課題と解決策が提示されました。
これらのセッションに共通していたのは、技術が高度化・巧妙化する現代において、「信頼」は決して一度構築して終わりではないという意識です。TLS 証明書の有効期限短縮や、パスワードレス認証への移行、そして法規制への対応といった変化の波に対し、技術的な実装だけでなく、いかに運用フローを標準化し、システムを「守り続けられる状態」にするか。そのための具体的なソリューションと、パートナー企業との連携による実践的なアプローチが、本イベントを通じて深く共有されました。
この記事の著者
OSS/ セキュリティ / 脅威インテリジェンスエバンジェリスト
面 和毅
セミナー事務局より
悪意ある攻撃や環境の変化は止まりませんが、それに対抗する私たちの「信頼の基盤」もまた、進化し続ける必要があります。今回の「Cybertrust Day」が、企業の皆様にとって明日からのセキュリティ戦略を見直すきっかけとなれば幸いです。
最後になりますが、足元の悪い中ご来場いただいた多くの皆様、ならびにご講演いただいたパートナー企業の皆様に心より感謝申し上げます。
「資料が欲しい」「詳細を説明してほしい」など、Cybertrust Day に関するお問い合わせは以下にご連絡ください。
サイバートラスト セミナー事務局
ctj-seminar@cybertrust.co.jp





