採用情報 お問い合わせ

BLOG

デジタル化・DX BLOG

本人確認/eKYC

2025 年 12 月 17 日

【2027年4月施行】犯収法改正で対面本人確認はどう変わる?ICチップ読み取りと必要な対応

更新:2026-09-03

はじめに

2027年4月1日から、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、犯収法)」に基づく本人確認方法が変更されます。対面取引では、ICチップ付き・顔写真付き本人確認書類について、券面の目視確認だけでなく、ICチップ情報の読み取りと画面表示が原則として必要になります。
本記事では、改正前後の違いと企業が準備すべき対応を解説するとともに、現在の本人確認方法から自社への影響を確認できます。

犯罪収益移転防止法(犯収法)とは

犯罪収益移転防止法(犯収法)は、マネー・ローンダリングやテロ資金供与などを防止し、犯罪による収益が社会や経済活動に利用されることを防ぐための法律です。正式名称は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」といいます。

犯収法の対象となる特定事業者

犯収法では、本人確認などの義務を負う事業者を「特定事業者」と定めています。金融機関、クレジットカード事業者、ファイナンスリース事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取・電話受付代行・電話転送サービス事業者、司法書士・行政書士・税理士・弁護士などの士業、カジノ事業者などが該当します。

ただし、特定事業者が行うすべての業務・取引が対象になるわけではありません。対象となる「特定業務」のうち、顧客との取引が「特定取引」などに該当する場合に、取引時確認が必要になります。

特定事業者に求められる主な対応

特定事業者には、業種や取引内容に応じて、主に次の対応が求められます。

  • 顧客の本人特定事項、取引目的、職業・事業内容などの取引時確認
  • 確認記録および取引記録の作成・保存
  • 疑わしい取引の届出
  • 取引時確認を適切に実施するための社内体制整備

個人顧客では氏名・住居・生年月日、法人顧客では名称・本店または主たる事務所の所在地などが本人特定事項にあたります。一般に「本人確認」と呼ばれる手続きは、犯収法上の「取引時確認」の一部に位置付けられます。

今回の改正では、この取引時確認のうち、本人確認書類を用いた確認方法が見直されます。以下では、2027年4月以降、対面での本人確認がどのように変わるのかを解説します。

2027 年 4 月以降の対面本人確認のポイント

今回の改正案では、対面での本人確認について、本人確認書類を「顔写真の有無」「IC チップの有無」の観点で整理し、それぞれに応じた確認方法が定められています。

ICチップあり 顔写真あり

ICチップの読み取りが必要

例:マイナンバーカード、運転免許証、在留カード

本人確認書類の提示を受け、ICチップ情報を読み取り、 内容を画面に表示して確認します。

現状は、券面の目視確認のみでも一定の要件の下で本人確認が可能となっていましたが、今後は券面偽造への対応力を高めつつ、IC チップに格納された情報を活用した厳格な本人確認が求められるようになります。

ICチップなし 顔写真あり

転送不要郵便等による確認が必要

例:身体障害者手帳

本人確認書類の提示を受け、記載住所宛てに 取引関係文書を転送不要郵便等で送付します。

IC チップによる確認が行えない分、転送不要郵便によって、申告住所に実際に居住しているかを補完的に検証する考えとなります。

ICチップあり 顔写真なし

ICチップ読み取りと郵送が必要

例:16歳未満の在留カード

ICチップ情報を読み取り、内容を画面に表示して確認したうえで、 取引関係文書を転送不要郵便等で送付します。

顔写真の確認が行えないことから、IC チップ情報と転送不要郵便を組み合わせることで、なりすましリスクを抑制する設計になっています。

ICチップなし 顔写真なし

対象書類の提示と郵送が必要

例:住民票の写し

利用できる書類の提示を受け、記載住所宛てに 取引関係文書を転送不要郵便等で送付します。

書類は取得に手間がかかりやすく、ユーザにとってのハードルが高くなりがちです。現実的には、他区分の書類での確認を基本とし、当該書類を用意できないケースで補完的に使われる運用となることが予想されます。

非居住外国人等に対する例外的な取扱い
上記方法のいずれも実施困難な非居住外国人については、現行どおり、顔写真付き本人確認書類の提示を受ける方法を存置する取扱いとされています。

以下は、今回の改正前後における本人確認方法の違いを整理した表となります。

改正前 改正後(2027.4.1~)
規定 内容 規定 内容
顔写真付き本人確認書類の提示 IC チップ付き & 顔写真付き本人確認書類の提示 + IC チップ読み取り
顔写真無し本人確認書類の提示 + 転送不要郵便 以下 (1)(2) のいずれか + 転送不要郵便
(1)「IC チップ無し & 顔写真付き本人確認書類」または「IC チップ無し & 顔写真無し本人確認書類」の提示
(2) IC チップ付き & 顔写真無し本人確認書類の提示 + IC チップ読み取り
・顔写真無し本人確認書類2つの提示
・顔写真無し本人確認書類の提示 + 異なる本人確認書類または現住所記載のある補完書類の提示
  削除
顔写真無し本人確認書類の提示 + 異なる本人確認書類または現住所記載のある補完書類(またはその写し)の送付   削除
セルフィー+顔写真付き本人確認書類の撮影画像の送信   削除
※非対面の厳格化に伴う改正
セルフィー+顔写真付き本人確認書類のICチップ読み取り 左に同じ
以下(1)(2)のいずれか + 他特定事業者の情報照会/既存口座への振込等
(1)顔写真付き本人確認書類のICチップ読み取り
(2)顔写真付き本人確認書類の撮影画像の送信
顔写真付き本人確認書類のICチップ読み取り+ 他特定事業者の情報照会/既存口座への振込等
※非対面の厳格化に伴う改正
以下 (1)(2)(3) のいずれか + 転送不要郵便
(1)本人確認書類の原本送付
(2)顔写真付き本人確認書類のICチップ読み取り
(3)本人確認書類の画像情報の送信
以下 (1)(2)のいずれか + 転送不要郵便
(1)本人確認書類の原本送付
(2)顔写真付き本人確認書類のICチップ読み取り
※非対面の厳格化に伴う改正
以下 (1)(2)のいずれか + 転送不要郵便
(1)本人確認書類の写し2つの送付
(2)本人確認書類の写し1つ+現住所記載の補完書類またはその写しの送付
  削除
※非対面の厳格化に伴う改正
本人確認書類の写し(および必要に応じて補完書類)の送付+転送不要郵便
※主に、給与振込口座開設時や証券口座開設時のみ
左に同じ
カード代替電磁的記録の送信 左に同じ
本人限定受取郵便。受取時には (1)(2) のいずれかを実施
(1)顔写真付き本人確認書類の提示
(2)カード代替電磁的記録の送信
本人限定受取郵便。受取時には (1)(2) のいずれかを実施
(1) IC チップ付き & 顔写真付き本人確認書類の提示 + IC チップ読み取り
(2)カード代替電磁的記録の送信
電子署名法の認定を受けた民間事業者が発行する電子証明書を利用した本人確認 左に同じ
マイナンバーカードの署名用電子証明書を用いた公的個人認証 左に同じ
公的個人認証法の認定を受けた民間事業者が発行する電子証明書を利用した本人確認 左に同じ
   
(新設)
顔写真付き本人確認書類の提示
※一定の非居住外国人等のみ
   
(新設)
以下 (1)(2)のいずれか + 転送不要郵便
(1)本人確認書類の原本送付
(2)本人確認書類の画像情報の送信
※一定の非居住外国人等のみ
※非対面の厳格化に伴う改正
   
(新設)
以下 (1)(2)のいずれか + 転送不要郵便
(1)本人確認書類の写し2つの送付
(2)本人確認書類の写し1つ+現住所記載の補完書類またはその写しの送付
※一定の非居住外国人等のみ
※非対面の厳格化に伴う改正

表 1:犯収法改正前後における、本人確認手法の比較

事業者が2027年4月までに準備すべき対応

2027年4月1日から、対面・非対面の本人確認方法が変更されます。特定事業者は、現在の本人確認方法を確認し、端末・システムと業務運用の両面から対応を進める必要があります。
非対面の変更点は「犯収法改正で「IC チップ読み取り」の流れが加速、早期対応がカギ」をご覧ください。

1.現行の本人確認プロセスの棚卸し

まず、現在の本人確認方法を整理し、改正による影響を確認します。

  • 店頭や営業担当者の訪問先、代理店窓口、オンラインなど、本人確認を行っている場所やチャネルを洗い出す
  • 現在利用している本人確認書類と、券面の目視やICチップ読み取りなどの確認方法を整理する
  • 改正後も継続できる方法と、切り替えが必要な方法を確認する

2.IC チップ読み取り環境(端末・システム)の整備

対応が必要な場合は、端末の導入に加え、読み取った情報の取扱いまで検討します。

  • IC カードリーダーや NFC 対応スマートデバイスの導入・配置計画
  • 基幹システム等との連携方式の検討(IC チップ情報の連携や保存範囲等)
  • 読取エラーや障害が発生した場合の処理・代替手順の整理

3.本人確認書類の取扱いルールの見直し

通常の確認方法に加え、例外的なケースの対応も社内ルールとして明確にします。

  • ICチップや顔写真がない本人確認書類、非居住外国人などの例外的な取扱いを定める
  • 転送不要郵便を利用する場合の発送、到着確認、返戻時の手順を整理する
  • マニュアルを更新し、本人確認を担当する従業員へ周知・教育する

端末調達やシステム改修、運用テストには時間がかかります。必要な費用を見積もり、予算と移行スケジュールを早めに確保しましょう。

開発・運用の負担を抑えるには、本人確認サービスの活用も検討

これらを自社で開発・運用する場合、初期対応だけでなく、保守や法令改正への継続的な対応も必要です。負担を抑える方法として、ICチップ読み取りや公的個人認証(JPKI)などに対応した本人確認サービスの活用も選択肢になります。

対応する書類・確認方式、既存システムとの連携、費用、法令改正時のサポートを比較し、自社に合うサービスを検討しましょう。サービスを利用する場合も、社内ルールや例外対応の整備は必要です。

本人確認サービスを見る →

さいごに

今回の犯収法の改正案では、対面での本人確認において IC チップ読み取りを原則とすることで、なりすましや偽造書類による不正取引への対応を一段と強化する方向性が示されました。一方で、IC チップなしの書類や非居住外国人等への例外規定も設けられており、事業者には「原則と例外」を踏まえた細かな運用設計が求められます。

施行予定日は 2027 年 4 月 1 日と、いまから見ると一定の準備期間が設けられていますが、本人確認は、法令遵守や犯罪対策の要となる業務であり、システム改修や業務プロセスの見直しには時間を要します。パブリックコメントや今後公表されるガイドライン等も注視しつつ、早期に現状把握と対応方針の検討を進めていくことが重要です。

2027 年 4 月 1 日からは、非対面取引の本人確認も厳格化が進む見込みであり、確実な本人確認手法への移行が求められます。詳細については「犯収法改正で「IC チップ読み取り」の流れが加速、早期対応がカギ」もあわせてご参考にしてください。

サイバートラストの iTrust 本人確認サービスは、犯収法をはじめ関連する本人確認要件の変化を見据えて、運用・システム両面で対応できるサービスとして提供しています。
スマホ JPKI、基本 4 情報取得、マイナ免許証の読み取りなど、制度変更や行政施策にも継続的に追随し、必要なアップデートを迅速に提供し続けます。IC チップ読み取りの対応方針や移行計画の検討が必要な場合は、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。

本記事に関連するリンク
この記事の著者
 著者近影:山田 拓輝
山田 拓輝

2022年サイバートラスト入社。入社後はiTrustサービス群のサポートを担当し、特にiTrust 本人確認サービスについてプロダクトマネージャーおよびプロジェクトマネージャーの補佐を担う。2025年よりiTrust 本人確認サービスのプロダクトマネージャー兼プロジェクトマネージャーを担当。