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イベントレポート

2013 年 05 月 30 日

サイバートラスト カンファレンス 2013:日本品質が実現する Trusted ビッグデータの世界

サイバートラスト カンファレンス 2013 「実現!新日本品質 Trusted Quality」 レポート
日本品質が実現する「Trustedビッグデータ」の世界

昨今、話題に上ることの多いビッグデータ。定義や解釈は様々だが、企業経営に大きな影響を与えていくという点では共通の認識を得られている。ビッグデータをどう企業経営に役立てていくかに多くのスポットライトが当たるが、もう一つ欠かせないのはセキュリティを確実に担保することだ。2013 年 4 月 18 日に六本木ヒルズクラブ(東京)で開催された「Cybertrust Conference 2013」では、「実現! 新日本品質」というテーマで基調講演やパネルディスカッションなどが行われた。

基調講演
サイバートラスト株式会社 取締役 最高技術責任者 北村裕司
各社ソリューション紹介
インテル株式会社 オートモーティブ・ソリューション・グループ
チーフ・アドバンストサービス・アーキテクト(兼)ダイレクター 野辺継男氏
シスコシステムズ合同会社 専務執行役員 木下剛氏
ソフトバンク・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 CEO 阿多親市氏
パネルディスカッション
モデレータ:
日本経済新聞社 デジタル編成局長 渡辺洋之氏
パネリスト:
インテル 野辺継男氏
シスコシステムズ 木下剛氏
ソフトバンク・テクノロジー 阿多親市氏
サイバートラスト 代表取締役社長 眞柄泰利

安心安全な社会インフラを実現する

イベントは、サイバートラスト 取締役 最高技術責任者の北村裕司による基調講演「『信頼とともに』 サイバートラストが目指すもの」で幕を開けた。

北村は「今後、普及が予想される IoT (Internet of Things) や M to M (Machine to Machine)は、企業のビジネスの中だけでなく人々の生活にも影響する社会インフラになっていく。安心安全な社会インフラを実現するために、今後事業の方向性を見定めていきたい」と力強く語った。

日本発の機能は未来の世界標準

インテル オートモーティブ・ソリューション・グループ チーフ・アドバンストサービス・アーキテクト(兼)ダイレクターの野辺継男氏は「ICT が世界を変える~クルマの例」と題する講演を行った。

 自動車などの移動体に通信システムを組み合わせて、リアルタイムに情報サービスを提供するテレマティクス。その代表例がカーナビだ。日本では 2007 年時点でカーナビの市場浸透率が約 70 %となった。だが、海外での車載ナビの市場浸透率は20%に満たない。

カーナビと同じような状況を呈したのが"ガラパゴス"と呼ばれる携帯電話だ。新しい機能が追加されて好調な売れ行きを示したが、iPhone と Android スマートフォンが発売されると低迷した。
「ただし、日本で作り込んだ機能や売れた機能は未来の国際標準になっているのは事実。こういう捉え方で日本の産業を読む必要がある。今後、景気が回復してくれば新製品として魅力的な機能が日本の企業から出てくる」と野辺氏は予測する。

「コンテクスト」で新たなセキュリティ対策

次に登壇したシスコシステムズ 専務執行役員の木下剛氏は、「ビッグデータを支えるセキュアなネットワーク」というタイトルで講演した。

ビッグデータは経営者にとって企業を発展させる可能性を秘めたものとして期待されている。「ビッグデータは技術というよりも経営ツール。過去に IT が担ってきた役割がさらに飛躍していく」と木下氏は話す。

ビッグデータで経営が進化するという期待はあるが、セキュリティの観点では複雑なものになってきている。クラウドとモバイルとビッグデータを使うことは、オープンな環境の中でいかに機動力のある企業経営を行えるかということで、セキュリティは基盤技術として取り扱わなければならなくなったのだ。

シスコはネットワークの中に「コンテクスト」という新しいインテリジェンスを持たせることによって、新たなセキュリティが実現できるというスタンスで取り組んでいる。端末の認証はシスコの技術ではなく、サイバートラストのような企業の持つ技術と連携して行うことを考えている。

複数のクラウドがシングルサインオンで

ソフトバンク・テクノロジー 代表取締役社長 CEO の阿多親市氏は、クラウドサービスを利用する場合、これからは一つのサービスだけでなく複数のサービスを使うようになっていくと指摘する。その際、すべてのクラウドサービスに ID とパスワードがそれぞれ必要になると利用者に混乱をきたす。

「そこでソフトバンク・テクノロジーでは、シングルサインオンのプロダクトを自社開発し、それにサイバートラストのデバイス ID を組み合わせて提供している」と話す。今後、「Microsoft Office 365」や「Google Apps」セールスフォース・ドットコムのアプリケーションなどがシングルサインオンで使えるようになるという。

また、阿多氏は「コンピュータリソースあるいはネットワークのスピードが向上し、今まで捨てていたようなデータを活かせるようになる時代がくるに違いない。当社はエンジニアリソースをそこに向けていきたい」と語った。

ビッグデータは経営に本当に役に立つのか

パネルディスカッションには、モデレータに日本経済新聞社 デジタル編成局長の渡辺洋之氏を迎え、野辺氏と木下氏、阿多氏、サイバートラスト代表取締役社長の眞柄泰利が登壇した。

日本経済新聞社は、3 年前から「日本経済新聞電子版」などのデジタル事業をスタート。渡辺氏はその事業運営の責任者だ。日本経済新聞電子版の有料版の会員は日本経済新聞本紙の購読数の1割ほどに到達している。関連会社の日経 BP 社と合わせると数百万人分の読者名簿があるという。

「われわれ自身がものすごいデータを持ち、新聞のサービスをブラッシュアップしていくと同時に、『ビッグデータを利用して新たなビジネスを展開したらどうか』『ビッグデータを経営に役立て、業績を伸ばせるのではないか』と経営層から言われている。会場の皆さんも似たようなことを言われているのではないか」と渡辺氏は投げかけた。

次に渡辺氏は、野辺氏に「テレマティクスはどのくらいのスパンで定着、普及していくのか」と問いかけた。

野辺氏は「少し時間がかかるだろう」と答え、「例えば車の自動運転ができるとして、人はどう考えてもハンドルに手をかけたくなる。運転している人のメンタリティも変えないと次の世代に進まない。また、日産だけがテレマティクスを進めても普及させるのは難しい。グローバルな規模で多くの企業が同じようにソリューションを始め、その使い方が認知されて初めて市場に受け入れられる。ビッグデータが浸透するにはそういう時間感覚が必要になる」と続けた。

「ビッグデータは経営に本当に役に立つのか」――。渡辺氏のこの問いに応えたのは阿多氏だ。

「今まで、オープンな IT はコストダウンに使われてきた。人が行っていたことを IT で対応したり、古い IT システムを新しくすると OPEX(※業務費や運営費)が減るという考え方だ。一方、インターネットの普及によって EC も含めたビジネスオポチュニティが出てきている。ただ、その領域では勘の世界、ひらめきの世界がフィーチャーされている。その現場で働いている人たちは 0.1 %、0.05 %上げればこれだけの売り上げと利益が上がるということを必死に考えてやってきているのが現実。そのオポチュニティをどこから引き出してくるかを教えてくれるものがビッグデータだ」と説明した。

ビッグデータの時代はもう始まっている

次に渡辺氏は、木下氏に「今後、セキュリティについてどう考えていけばいいのか」と質問した。

「セキュリティは今までのやり方ではいけない。今までは部分対処だったが、コンテクストという新しい考えで全体最適化する必要がある。ただ、すべて作りかえる必要はない。様々な事業者のサービスを適切に組み合わせることで実現できる」と木下氏は答えた。

 また木下氏は「オープン化と日本の IT の仕組みを考えた時に重要なキーワードとなるのは、オープン化と"ダイナミック"。今までの IT の仕組みは大半がスタティック、静的にあらかじめ決められた情報や条件に基づいてセキュリティやサービスの利用を考えたが、これからの時代はダイナミックが求められる」と話した。

眞柄は「この数カ月間、海外の人と何度も話をした。基本的には『クラウド認証』をベースとしたプラットフォームを作りたいという話がある。そのとき、『位置情報、時間、サービス利用者の実在を認証する仕組みを実現したようなプラットフォームはすでにあるのではないか』と相手に問いただしてみた。サイバートラスト デバイス ID は、古くからある PKI という技術を使っているからだ。だが、返ってきた答えは『ない』ということ。オープンなネットワークを使ってセキュアに、また、証明書を端末のトラストエリア(※端末内の安全な領域)に入れる技術がないというのだ。その部分については少なくともサイバートラストの技術は進んでいる」と強調した。

最後に渡辺氏が「ビッグデータの時代はもう始まっている。それがもっと加速していく。今と比べ物にならないものすごいデータを取れる時代が数年後にはやってくる。われわれはそこに向けて少なくとも準備を始めるべきだろう」と話し、カンファレンスを締めくくった。

Cybertrust Conference 2013 を通して語られたこととして、ビッグデータはさまざまなソースからのデータを複合的に扱うことで価値が増すということが挙げられる。そのために必要なのがプラットフォームのオープン化だ。
オープン化の流れは、ワールドワイドの潮流だが、一方で、日本人のきめ細やかさ・品質の高さは世界で評価される強みである。このカンファレンスではまさにその事が強く訴えられた。
プレイヤーが増え、データソースが増大した際には、プラットフォームは共通基盤化される必要がある。それとともに、社会インフラが高度に IT 化されることでセキュリティの重要性はこれまで以上に高まっていく。
信頼される情報ソースを持つビッグデータが、様々な価値を生み出し、社会で活用されるようになるであろう。
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