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2019 年 07 月 03 日

テレワークから始まった働き方改革、失敗を重ねてたどり着く「新発想」のイノベーション

サイバートラスト株式会社 セキュリティプロモーション統括部 統括部長 松本義和 Yoshikazu MATSUMOTO

テレワークから始まった働き方改革、失敗を重ねてたどり着く「新発想」のイノベーション

―― 弊社のお客さま向けに情報セキュリティのコンサルティングや研修講師をしていただくなど、大変お世話になっています。今日は、貴社の働き方改革の取り組みについて伺いたいのですが、貴社では、だいぶ以前からテレワークを導入されていますよね。

松本: 2012 年から、全社員向けのテレワークを正式にスタートしました。仕事だけではなく、通勤も含めて約 1 年間のテストを経て本格スタートしました。ルールも運用方法も、毎年、見直しています。
それから、2014 年に、会社がソフトバンクグループから SB テクノロジーグループに変わったのですが、このタイミングで、サイバートラストとしてのより良い働き方を考えるようになりました。ストレスの変化を確認するための施策として、大自然の中で森林浴をしながらテレワークをするという試みも始めました。

―― テレワークの場所や業務内容は。どのようにルール化しているのですか。

松本: 場所はある程度限定しています。仕事をする場所は、自宅、出張先のホテル、喫茶店、電車内などいろいろ考えられますが、「禁止」と明言することは敢えて避けていて、喫茶店と電車内は、基本的に控えるようにと文書化しています。突発的なものをルールで縛るのは難しくて、たとえば、喫茶店での電話を罰則としたところで監査できません。

今のところ、テレワークが許可されているのは自宅と宿泊地ですが、背後や肩越しなどからパソコンの画面を覗き見されないように、電話や Web 会議の音声を盗み聞きされないようにというのが大前提です。覗き見対策として、パソコンの画面には必ず覗き見防止フィルムを貼るということもルール化しています。

テレワークで扱える情報かどうか、情報資産台帳で確認

―― 業務で扱う情報には、電子化されたデータや紙、機密情報などいろいろありますが、テレワークではどのようなルールになっていますか。

松本: 弊社の場合、テレワークでは紙の情報は扱えません。データを出力して紙になった途端に、資産レベルが上がるものが、実は結構あるんです。同じ内容であっても、電子化されたデータと紙では、利用環境やライフサイクル管理が異なりますから。

テレワークで許可されるデータの基準ですが、まず、弊社は社内の各エリアのセキュリティレベルをレベル 1 から数段階に区分けしています。レベル 1 が一番セキュリティレベルの低いエリアになります。そして、それぞれのエリアで扱える情報を定義しています。テレワークをする場所にもセキュリティレベルを設定していて、自宅や宿泊地は、レベル 2 と定義しています。

したがって、自宅で扱っていい情報は、社内のセキュリティレベル 1 から 2 のエリアで扱える情報と同じということになります。

データも紙も業務で扱う全ての情報は、情報資産台帳で管理されていますから、テレワークで扱える、つまり、セキュリティレベル 2 のエリアで扱える情報かどうかは、情報資産レベルからも判断できます。テレワークを始めてから、社員が自分の業務に必要な情報の資産レベルを気にするようになりましたね。

―― テレワークの勤怠管理はどうしていますか。

松本: 家で仕事をするとサボるんじゃないかという懸念は、つねにあります。ですので、テレワークでの仕事の状況をどうチェックするかという点は、かなり議論しました。弊社の場合、テレワーク中の会議には Skype を使うのですが、朝9時から会議をするときには、必ず 9 時前にカメラの前に座っていることをルール化しようとしましたが、結局、やめました。働き方を変えて環境が変わったのだから、時間も変わっていいはずですよね。テレワークなんだから、朝 9 時から仕事しなくてもいいだろうということになりました。

今のところはですが、テレワークは事前申請を徹底していて、その日にやることをミッション制にしています。ミッションを消化できればいいという考え方で、業務時間は自己申告です。事前申請に書かれた時間を信じて、特にチェックはしていません。その代わり、申請した業務、生産物が上がっているかどうかは確認しますので、みんな、きちんとやっています。

―― 社員が会社に出てこない完全テレワークの日は、平均して週に何回くらいあるのですか。

松本: 私のチームでは、平均すると週に 1 日ですね。大体全員がそんな感じで、バランスが保たれています。 半日だけ自宅で仕事をするというテレワークも考えたのですが、朝眠いから行かなくていいやというような使い方をされたくなくて、これはやめました。お子さんの送り迎えや介護があるというケースは、もちろん、認めています。

テレワークと森林浴の組み合わせでストレスを軽減

―― 森林浴をしながらテレワークをする試みというのは、どのようなものですか。

松本:ストレスの変化を確認する目的で、夏のシーズンに1週間、避暑地でもある北海道の旭川市で、テレワークをしながらストレスを計測するというものです。旭川市の施設を約 3 か月間お借りして、5 名くらいのチームで、1 週間ずつ滞在してもらいます。
仕事の一環ですので、交通費などは会社負担です。毎年希望者を募るのですが、人気があるようで、毎年応募チームが増えています。

森林浴でストレス軽減
旭川市でテレワーク

―― ストレスの計測は、どのように行うのですか。

松本: 旭川に行く前の 1 週間、旭川滞在中の 1 週間、帰ってきてからの 1 週間、計 3 週間のストレス値を計測します。方法は何種類かあるのですが、唾液アミラーゼという成分の濃淡で測るという方法を採用しています。あとは心拍や心電ですね。IoT デバイスを使って、24 時間計測を 3 週間やります。

旭川医大のドクター監修のもとでルールを作って計測しているのですが、ストレス値は、旭川に行く前の通勤時や、営業会議など重めの会議があるときなどは、ドンと上がります。そして、旭川に行って最初のうちは慣れない生活が 1 週間待っているせいか、ちょっと上がるのですが、自然に囲まれるとリラックスするようで、暫くするとかなり下がります。でも、東京に戻ってくると、残念ながらまた上がってしまうんです。

―― そうすると、やっても意味がない。ということにはならないのですか。

松本: 旭川から戻ると、またストレスが上がってしまうなら、結局、意味がないんじゃないか。最初の 2 年くらいは、そのような声も上がりました。なぜ、続けているのかというと、定量的に効果が見えているからです。全体的なストレスは、年々下がっています。

原因はいろいろ考えられるのですが、一人ひとりが、自分のストレスを認識できるようになったということが、やはり一番大きいと思います。会社としては、旭川に居たときの雰囲気というか、感じ方、仕事への取り組み方を東京に戻っても継続できるようにするために、いくつかのプログラムの開発も進めています。

壁のないフリーアドレスが社員の交流を活性化

―― テレワークのほかに何か、たとえば、フリーアドレスはやっていますか。

松本: 2017 年 10 月 1 日付けで、サイバートラストとミラクルリナックスが合併し、翌年の 8 月に本社を移転しました。この時、主に営業部を対象にしたフリーアドレスを始めました。出社したら、どこに座ってもいいというものです。それまでは、両社ともに、パーテーションで区切られた自席で仕事をしていたので、大きな変化だったと思います。

2 つの会社が 1 つになりましたので、コミュニケーション面で苦労するようなこともあるかと思ったのですが、パーテーションで仕切らないフリーアドレスにしたことで、2 社間の壁もなく、交流が活性化しているように感じています。

組み込み OS と認証という、まったく異なる技術の会社が合併しましたので、コミュニケーションが盛んになれば、新しい発想のイノベーションが生み出されるのでは、と期待しています。

働き方改革を新たな発想を得るための施策として捉える

―― テレワークや働き方改革を進めるにあたっての心構えなどあれば、ぜひ、教えていただけませんか。

松本: これからテレワークを始めようとするのであれば、何のためにするのかを明確にしておくと、ルールが作りやすくなります。

1191280_img2.jpgテレワークが推進される理由はいろいろあると思います。ストレス軽減もそうですが、都内にオフィスがあるならば、2020 年の東京オリンピックで予想される 1 日 百万もの人出の影響を避けるためだったり、育児や介護、それから、災害で通勤できなくなったときのシミュレーションの一環として始めてみるというのもあるでしょう。

弊社の場合は、ストレス軽減を 1 つの切り口としてスタートしました。そして、森林浴合宿のようなことを続けて、ストレスを軽減するというゴールにたどり着きました。自分たちが設定した目的と、テレワークをうまく組み合せることができれば、とても良い働き方改革になるのではないでしょうか。

働き方を変えると何らかの新しい発見があって、そこから生まれるものがあると思うのです。せっかくなので、新しい発想を得るための施策としても、働き方改革を捉えてみてはどうでしょう。私は、テレワークやモバイルワーク、働き方改革というのは、新しいビジネス創出のきっかけだと思っています。

弊社は、誰よりも早く新しいことに取り組んでいきたい会社で、テレワークもそうでした。まわりが気づいていないことを最初にやって、許される範囲で、いろんな失敗をしていきたい。まず、いろいろ試してみてできないことを見つけて、それを解決できれば、そこにビジネスチャンスがあるはずですから。

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